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「四つの基本属性を同時に使うなんて…僕たちはまだ基本属性なんて発動したことないのに…」
「勝ち目ないじゃん…」
「そうかしら?私が見たところ、あなた達は基本属性を解放すれば無敵なんじゃないかって思うわ。」
「ホントですか!?やったな、陽輝!」
「…でも、どうやって属性解放なんてするんですか?」
「…この機会だし、私が実演してあげるわ。しっかり見てなさい!」
サイアは腰に付けていた自分用の剣を引き抜くと、馬宙と陽輝の前に立った。
「…スキルコマンド・マイエレメントウェイク!」
すると、彼女の剣から凄まじい冷気が溢れだし、周囲を氷で包んだ。
「うわぁ…氷、しかも本物だぞこれ。」
「僕達にもこれが使えるんですか?」
「もちろんよ。ただし人によって発現する属性は違うの。自分が心の中に何を思い起こすのかが、発動のカギなのよ。分かったかしら?」
「「はい!ありがとうございました。」」
サイアはさっき発動したスキルの術式をもう一度唱え、さっきまで修剣場一帯を覆っていた氷を一瞬のうちに消した。
―その後、食堂―
結局あのあと二人は腹の音を三回無視してありったけのソウルスキルを脳に刻み付けた。自分の身体状態を変化させるスキル、剣の状態を変化させるスキルを中心に合計12種類覚えた。
が、肝心のマイエレメントウェイクはというと、覚えようとしたところで空腹が限界に達したため、やむを得ず中断した。
そして二人は食堂でそれぞれ昼食をとることにした。
馬宙は白飯とスープとサラダを、陽輝はフランスパンとスープ、ホットミルクを注文した。
「自分の心の中に思い起こすものが反映される…か。オレは今、記憶がないんだよな。だから、思い起こせって言われても正直ピンとこないところがあるんだよ…」
「記憶がなくても思い起こすこと…イメージくらいならできるんじゃないかな?」
「陽輝はその点気楽だよな…イメージって、何をイメージすればいいんだって話になるぞ…」
「そういえばそうだよね…そこだけは僕にも無理があるんだよな…」
このように二人はさっきから自分達の中にあるものについて物議をしていた。それは、お互い昼食を済ませたあとも移動しながらでも続いた。
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