アルス・アマトリア3

17/68
81人が本棚に入れています
本棚に追加
/68ページ
 ちょっと冷えてきたな、と玲が思い始めたその時。  夜風がふいに窓から入って、彼の髪をふわりと動かした。  甘い香りが、秋也の鼻をくすぐる。  その匂いに、秋也はかすかに眩暈を感じた。 (いい香りだ)  玲の横顔を見ているうちに、心臓の鼓動が早まってきた。  おかしい。  そんなに飲んではいないはずだが。  冷たい夜風に当たっているというのに、体も熱くなる一方だ。
/68ページ

最初のコメントを投稿しよう!