第一章  「ビーナス」

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「まだ臨月じゃないよね、凄く綺麗だよ・・性別は・・聴いた?・・・もう分かるよね、聴いてない?・・・そうだね、産まれた時の楽しみか」 『縄文のビーナス』それは妊婦を崇拝するために造られた土偶・・・そう言われているが、本当の事は判らない。 悪魔に生け贄に捧げられたのかも知れないし、死んだ妊娠の墓に墓標として置かれたのかも知れない。 俺は想う、縄文人は妊婦の艶麗さとエネルギーを偶像にして崇拝したのだと。 艶やかなお腹のふくらみ、肥大した乳首と黒ずんだ乳輪、それを土偶にし神としていたんじゃないかな。 (この膨張した腹の子は俺の子では無い) だが、むしろそれも神々しくて、縄文人の妊婦を拝む気持が分かるのだ。
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