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彼はパタンナーとして、世界的に有名なデザイナーについて服を作っていたのです。利き腕を失った彼は、その仕事も失いました。
もしかしたら、もうアパレルの世界からは身を引きたいかも、そう思ったのですが私は彼にうちで働いて欲しいと提案しました。
彼は逡巡した上で、承諾してくれたのです。
初めは左手だけの生活に苦労はあったようですが、毎日毎日使っているうちにコツは掴んで来るようです。
お箸も使えるようになりました、マウスも大丈夫なようです。最近は左手用の洋裁ばさみを買ってきて布を切る練習も始めました。彼の向上心は凄いと思いました。
初めの頃は接客を主にしてくれていました。
その一環が、店の宣伝の為のSNSへのアップです。
私はあまりそちらには詳しくないので……彼はマメで、日々店の様子を様々な媒体に上げてくれています。
今も、撮った写真からいいものを選んで、ホームページやつぶやくサイトに上げていきます。
そのお蔭か、仕事は確実に増えています、でも彼が居てくれるお蔭で私は仕事に集中できてきます、有り難い事です。なにより彼は接客がうまい、私では言えないような褒め言葉もスルスルと出てきます、羨ましい限りです。
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