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ここは、六本木にある一流の者のみが出入りを許されている高級カフェだ。
先日、高校を無事に卒業した俺は、大学入学までの間教科書代やら諸々を稼ぐ為、学生にしては時給が超高額であるカフェで、引き続きバイトをしていた。
今、日本で1番の人気を誇るイケメン俳優、龍ヶ崎翔琉と携帯電話の番号を交換してから今日で早1ヵ月。
高校を卒業してバイトしかしていない俺とは違い、多忙すぎる超人気俳優である男との連絡のやり取りは、ごくたまにしかない。
社会人と自由気ままな学生とのギャップを、そういうところで否応なしに感じる。
だからと言って、付き合っている訳でもないので特には気にしていない。
それでも、龍ヶ崎はこんな平凡な学生である俺に「好きになってほしい」が為、忙しい合間を縫って、毎日カフェへと顔を出してくれる。
俺が、道端で倒れていた龍ヶ崎を助けたことがきっかけであったが、未だにハリウッド級である芸能人が、俺のことを執着するほど好きになってくれたとは思えない。
芸能界にはいない一般人の物珍しさから、俺のことを好いてくれているのだろうが、それも一過性のものだろう……
そう思っている。
多分、今日もこれから俺がバイトを上がるギリギリの時間を見計らって、無理してでも店に来るだろう。
でも、以前に比べてそれも嫌じゃない。
心のどこかで、毎日龍ヶ崎を待っている俺がいるのだ。
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