嵐の予感

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嵐の予感

「ママ。 最近可笑しいよ?彼氏と上手くいってないわけ?」 濃密な5日を過ごして、渋滞によって明け方戻って来た日にはもうお店を開けた。 その日は殆ど眠っていなかったから、最近頑張っていたお料理はお休みさせてもらった。 簡単なものばかりでも、誰一人文句も言わずに寂しかったよ、と言ってくれて、 お土産で買って帰った葡萄や桃をサービスすると、すごく喜んでくれて。 日常に戻った安心感と、出発前とは違う自分の高揚感で心の居場所を作るのに苦労した。 でも、 ああ。やっぱり私は、ここが一番。 きっと旅行から戻った人々は、みんなそう思うのだろう。 週末にはまた会う約束をしていたけれど、土曜日の開店前に電話があって、 お兄様が倒れたから、実家に戻らなくてはいけなくなったと。 勇仁さんは『自分が勝手な事をしたから兄の肩に全てが掛かってしまった過労だろうけど、心配だから行って来る』と。 私を心配させまいと、そう言ってくれたのか、それとも本当にそうなのか、 私には判断できなかった。 日曜日が過ぎ、月曜日になってもまだ連絡が無くて、 心配でたまらない。 「お休みボケですかね?ごめんなさい?」 と笑って誤魔化す。
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