優しさの裏側

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「お母さん? 綺麗よ? きっと、愛した人のそばに居るから、さらに綺麗なのね? そうでしょう・・・?」 いつか教えてもらったメイクをお母さんに施し、最後にお気に入りのリップを挿して・・・ 喜んでいると感じた。 フッと笑った様な気がしたのだ。 その晩は、お母さんとお布団を並べた。 お通夜は一日置いて、その次の日が葬儀。 あと、二日は一緒に居られる。 お母さんの隣で眠るのは何度目かな・・・ 私がお店で酔っぱらってしまって、そのままママの部屋で眠ってしまった時が何度かあって。 その時のことはあまり覚えていないけれど、 温泉に行った事があったよね?福引で当たったって言っていたけれど、 あれはお母さんが準備してくれたものだったんでしょ? 近場の温泉だけど、電車を乗り継いで下着だけを持って、急だけどどう?って誘ってくれたね。 あの時は旅館の浴衣を着て温泉街を散歩して、ソフトクリームを食べて、写真を撮って・・・ 愉しかったよね・・・ ずっと続くと思っていたんだ。 お母さんと居ると、こんなに愉しい日々が。 今度は年末年始に計画をして北海道とか行きたいね、とか、 でも冬に北海道じゃ寒すぎない?沖縄にしようよ、とか・・・ 愉しい話ばかりをしてたような気がする。 あんな日は、もう、来ないんだよね・・・
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