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リビングに入ると緊急用のボタンを押せば、すぐに人が来る。
思い出して、リビングの扉を背中で開けて壁を探る。
目線を逸らさないようにして。
目を逸らすと襲い掛かって来そうで、怖くて。
「・・・お母さん・・・・?
お父さん、戻って来たの・・・?」
ゆかりだ!
「ダメ、ゆかり。部屋に戻って!」
そう叫んだけど、ダメだった。
男のすぐ傍に居て、男はあの時私を見たような目でゆかりを見てる。
「ゆかりちゃんていうのか。可愛いねえ・・・
雪乃。あの頃のお前と同じくらいか?」
「やめて!
ゆかり、こっちに!速く!」
私の顔を見て驚いたような感じだったけど、すぐに急いで私の方に走り出す。
ボタンを押す暇はなかった。
背中にゆかりを隠して、
「もうすぐ主人が戻ってきます。
出て行って下さい。この事はフロントに言います。
警察にも・・・」
「いいのかなあ。そんなこと言って。
旦那にもゆかりちゃんにもあの時のことを話してあげよっかな・・・
悦ぶぞぉ?」
「おじさん!
お母さんを脅してるの?
いい歳した大人が。
どんな生き方をしたらそんな酷い顔ができるのか興味さえ湧いてくるわ。
気持ち悪い!」
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