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すぐさま警備の人が来て、動けない私の替わりに、部屋中のいろんなものを散らかして暴れる男の脇をすり抜けて、ゆかりが鍵を開けてくれた。
私は腰を抜かしていたのだ。
全く力が入らずに、ヘナヘナと座り込んだままだった。
男が連行され、すぐに警官がやって来て事情を聴かれているときに勇仁さんが戻って来た。
「昔母と再婚した男が金欲しさで押し入ったのだろう」と頭をフル回転させて話しているのを聞いて、勇仁さんはとても憤慨していた。
セキュリティが万全なはずの物件でこんなに簡単に押し入られては安心して生活できない、どうなっているんだ。とマンションの管理の人に食い下がっていて、
怒る所はそこかい、とか考えたりして。
まあそこも大切な所なんだけど。
怖かったんだから。トラウマが蘇って来たんだから。と泣きたくて仕方なくて。
家の中はぐちゃぐちゃ。
でも、警察や管理の人たちが居なくなった後ではとても立ち上がるほどの力は残っていなかった。
あれだけ力強かったゆかりも放心状態。
それを見てやっと立ち上がることができた。
「ゆかり・・・ありがとう・・・
すごく助かったよ・・・」
抱きしめた。
母にもありがとうと念じた。
ゆかりは殆ど何も覚えてはいないようだった。
ただ、声が聞こえて勇仁さんが戻って来たのか思いでもいつもと様子がおかしいような気がして、部屋を出たら知らないおじいさんが居て・・・怖かったと。
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