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そんな母の気持ちも気付かずに、私は父の事ばかり話すようになっていたと思う。
僅かな時間しか一緒に居られないのに、その時間の殆どを父の話で埋めていた。
私ったら・・・
独りで食べる食事は何も味がしなくて、食べる事が嫌いになった。
学校の給食さえも苦痛で、食べ終わるのはいつも最後。
「時間なくて・・・
ごめん、何か買って食べてくれる?」
朝、母は仕事に出る前にそう言ってお金を置いた。
「いいよ?大丈夫。
ねえねえお母さん。お父さんから電話あった?」
「あるわけないじゃない」
そう言ったきり。
背中でもう何も言うなという空気を出していたような気がする。
私はそれさえも感じる事が出来ずに、
「じゃあ私から電話してみる。番号教えて?」
「いい加減にして。お母さん、今お仕事が大変なの。
このままじゃお仕事無くなっちゃうかもしれないんだから。
そうなったら、ユキも学校に行けなくなるし、ごはんだって食べられなくなるのよ?それでもいいの?」
「ごめんなさい・・・」
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