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白い庭の琉金たち
連婆さんが竹で出来た箒を頭上に掲げて、柿の木の枯れ葉を落とそうとしている。
縁側から見ていたお爺ちゃんが、あぁまたやと言う。柿の木の下には、もう充分すぎるほど、落ち葉が掻き集められていた。
白い日の光が、庭の池に反射してユラユラと輝いている。
自慢の金魚達の様子を見に行ったお爺ちゃんは、怒鳴りだした。
「勝手に琉金を移したのは誰や!」
小さめの池のほとりに、猫が寄り前脚を差し入れようとしていた。
お爺ちゃんは、慌てて走る。
それからどうなったのと、孫が問う。
「 お爺ちゃんのお祖父さんはな、慌てて池に落ちたんや」
「長い綺麗な琉金の尻尾がな、猫が悪さして短こうなったって、怒っとった」
じゃあ、お婆さんは?と孫が聞く。
連婆さんは、微笑っとったけどなと言って、祖父は目を細めた。
何故か満足そうな目尻の細長い皺を見ながら、悪さをしたのはこの人かな、と思う。
ひょっとしたら、記憶のなかの池の光が眩しくて、目を開けていられないのかもしれない。
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