Requiem

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Requiem

 美優(みゆ)が体調不良を訴えて学校を早退したのは、先月の中頃のことだった。それ以来、美優は一度も学校に出てきていない。毎日見舞いに行っている僕にはわかる。美優の状態は、良くなるどころか、日に日に悪化の一途を辿っている。最近では起き上がることも難しくなり始めている。美優も彼女の両親も、僕には病名を教えてくれない。だけど、ただならぬ病だということくらいは僕にもわかる。もしかしたら美優はこのまま死んでしまうのではなかろうかという不安が、しばしば僕の脳裏に過る。だからといって、僕が美優にしてやれることなど大してない。せいぜい話し相手になって学校の様子を伝えるとか、必要なものを売店で買ってくるとか、その程度だ。日に日に痩せ細り、弱々しくなってゆく美優を前に、僕はただ、無力さを感じるだけだ。  今日は朝から雨が降り続いている。空は灰色の厚い雲に覆われ、ときどき遠くの方で雷鳴が轟く。それでも僕は、学校が終わるとすぐに美優の病院へ向かう。雨のせいで道が渋滞し、バスはなかなか進まない。そのことに苛立ちを覚えても、結局僕にはどうすることもできない。     
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