Requiem

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 翌日、僕はいつもどおり、学校が終わると美優の病院に直行した。美優は昨日に比べて体調が悪いのか、体を横たえ、肩で大きく息をしている。とてもではないが、ゆっくり音楽を聴けそうな状況でもない。それにもかかわらず、美優は僕の姿を確認すると、ゆっくりと上半身を起こす。僕はそんな美優の背中を慌てて支える。 「手紙……読んで……くれた?」  美優は苦しそうに、途切れ途切れに言葉を発する。 「うん、もちろん。そして、約束も思い出した」 「よかっ……た。でも……約束……守れそうに……ない。ごめん……ね」 「バカ!! 昨日も言ったけど、美優が死ぬわけないだろ。僕の嫁さんになってくれる、そうだろ?」 「そうだ……ね。ごめん」  美優はそう言うと激しく咳き込んだ。僕は美優の背中を摩りながら、ゆっくりと体を倒させる。美優の咳はなかなか止まらなかったが、僕には体を摩ってやる以外にできることなど何もなかった。  一時間ほど経った頃には、美優の咳もおさまっていた。体調も少しは良くなった様子だ。僕は昨夜録音した曲のCDを鞄から取り出す。 「これ、昨日貰った曲を録音してみた」  そう言いながらCDを差し出すと、美優はそれを静かに受け取った。 「わざわざ録音してくれたの?」 「ああ。どうしても聴いてみたかったし、だけど、美優はいまピアノなんて弾ける状態じゃないし……」 「ありがとう」 「どういたしまして。それから、約束どおり、僕も美優へのお返しの曲を作り始めたから。出来上がったら、また録音して持ってくるよ」     
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