Requiem

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 確認しながら引き出しを開けてみると、そこには真っ白い封筒が一つだけ入っていた。封筒は厚みを帯びていて、中に何かが入っていることが見た目でわかる。 「それね、裕翔への手紙。プレゼントも一緒に入ってるから」 「手紙とプレゼント?」  そう言いながら封筒を開けようとすると、美優が慌ててそれを止める。 「恥ずかしいから、中を見るのは家に帰ってからにして」 「わかったよ。じゃあ、明日また来るから」  僕はそう言って手紙を鞄にしまい、病室を後にした。  家に戻り、自分の部屋に入ると、僕は早速封筒を開けてみた。中からは手紙が一通と、手書きの楽譜が五枚出てきた。一体何の楽譜だろうと思いながら、僕は手紙に目を通す。 裕翔へ  裕翔、毎日来てくれてありがとう。  裕翔が来てくれると、私も頑張らなきゃって思えるの。  早く病気を治して、また裕翔と学校に通いたい。  でも……もしかしたらダメかもしれない。  私は多分、このまま死んじゃうんだと思う。  死ぬのは怖いし、死にたくなんてない。  もっと裕翔と一緒にいたい。  でも、多分ダメ。  だから、この楽譜を裕翔に託すね。  いつか約束した、結婚式で弾く曲の楽譜。  もしよかったら、裕翔が弾いてね。  手紙を読んで、僕は美優の言っていた“約束”を思い出す。そう、あれは小学校に入学する直前だった。僕は確かに、美優と特別な約束を交わした。     
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