1―始まり―

10/14
前へ
/56ページ
次へ
「あんやそう、です。闇の夜を想うと書いて、そう読みます」 「何を思って名付けられたんだが…」 「それはウチの商品のイメージにピッタリだから、ですよ」 そう言われて、真名は周囲の商品を見回した。 「古い…という意味か?」 「まあそんなものです」 「ふぅん」 店内には真名と魅弦の二人しかない。 真名が骨董品を見て回る姿を、魅弦は笑顔で見ている。 見られていることを分かりつつ、真名は骨董品を見て回った。 その中で、白く小さな器が目を引いた。 真名は魅弦を見て、器を指さした。 「コレ、何に使うんだ?」 「おや、お目が高い。それは昔、中国で使われていたんですよ」 「へぇ」     
/56ページ

最初のコメントを投稿しよう!

7人が本棚に入れています
本棚に追加