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何も言わずとも気付いたらしく、説明を始めた。
「ああ、それは特注の腕時計です。世界に一つしかないんですよ」
「そうなのか?」
「ええ、何せオーダーメイドですから。作られたのは日本でして、その腕時計一本を残し、お店が火事で全焼…」
「だーっ! この店にはそういういわく付きの代物しかないのか!」
「はい、そうです」
「…え?」
魅弦は笑顔で肯定した。
「この店には、そういういわく付きの商品しか置いていません」
きっぱりと言われ、真名の足は出口に向かった。
「邪魔したな」
「おや、お気に召しませんでした?」
「そういう趣味はない。ついでに言うと、買う金も無い」
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