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真名はぶすっとしたまま、リンゴジュースをすすった。
しかしケータイが鳴った為、すぐに口を外した。
ケータイに表示されている名前は、引っ越す前にいた街の友人だ。
小学生の頃、近所に住んでいて、仲が良かった。
絵を描くのが得意で、高校もそっちの専門学校へ進んだことを真名は思い出しつつ、ケータイのボタンを押した。
「実花? どうした? こんな朝から」
懐かしい友ということで、真名の声のトーンと機嫌も上がる。
「…真名、お願いがあるの…」
しかし電話の向こうから聞こえてきた声は、悲しみに満ちていた。
「ん? 何だ?」
だからあえて、優しい声を出した。
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