お返し

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 おれは友人が帰るなりに30個のウエハースチョコを全部食べた。一個100calを30個、一般的な成人男性が摂取するカロリーを凌駕するぐらいの量をおやつとして完食した。晩飯も終わっていたので大好物のものであっても辛かったが頑張った。チョコを貰った嬉しみが胸焼けに変わったのは言うまでもない。  胸が焼けるように熱い中おれは男が男にバレンタインチョコをあげる意図について考えてみた。あいつがおれのことが好きとは。近頃はLGBTとかって愛に性別は関係ないと叫ばれている昨今、珍しいことではない。しかし、おれはテレビでアイドルを見ればときめくし、グラビアの袋とじに対してワクワクするぐらいだ。その気(け)は全く無い。    しかし、あいつの外見を考えると女と見れない事もない。むしろそこいらの女よりも細っこい体格までしているし、小動物を思わせるような可愛さ。守ってやりたいとさえ思うぐらいだ。 あいつは今、おれのことを好きだと言う。こんなに嬉しい事はない。  あいつがおれの事を好きと言うならその気持ちには答えてやらねばならない。ならばお返しだ。何を返したらいいのだろうか。世の女性達は三倍返しとか何十倍のブランド物を要求するらしい。だが、男に返す場合はどうしたらいいのだろうか。幸い、町中はバレンタインデーのピンクや赤のハートに塗れた風景からホワイトデー青いハートや青いプレゼントの箱に塗れた風景となっている、お返しを探すのは簡単だろう。ところで男から送り返すと言って青の箱と言う概念はどこから生まれたのだろろうか。白なら別に何色を使ってもいいはずなのに…… まさかと思うが男からの送るものだから「青」って安易な理由だろうか。 
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