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「僕の家、この近くだから寄って行かない?」
「いきなりお邪魔するわけには…」
「僕のこと覚えてない?竹下だよ。高校時代三年間同じクラスだった」
「陸上部中距離界のエースの?」
「そう」
「竹下くんっ!ごめんね。あの頃と雰囲気全然違うから気付かなかったよ」
「よく言われる。とりあえず、立てる?」
「立てると言いたいところだけど、腰抜けて立てない…」
「近くに車止めてるんだ。そこまで背中に乗って?」
「でも…」
「早く消毒しないと、化膿しちゃうよ?」
彼女は素直に僕におんぶされてくれた。
車はもちろん高級外車。
彼女が好きな車種にした。
ローンは痛いけど、すべては彼女のため。
そっと助手席に彼女を下ろし、車のドアを閉める。
これで彼女は僕のもの。
籠の中の鳥だ。
さっきのフクロウは僕が幼鳥の頃から飼い慣らしておいたフクロウ。
彼女を襲わせて、僕が近づきやすくするための切り札だった。
褒美に帰ったらいい肉を食わせてやるか。
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