籠の中の鳥

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リビングに誘導し、飲み物を用意して、寝室のクローゼットにある救急箱を持ってリビングへ行く。 かぎ爪の怪我の手当をする。 「そこまで深くないから痕にはならないと思うけど、一応毎日手当した方がいいね」 「ごめんね」 「いいよ。高校卒業以来に会ったんだし、ゆっくり話そうよ」 「そうだね」 高校卒業してからの生活を何時間も話していると、彼女が突然帰ると言い出した。 「まだいいじゃない」 「明日の仕事なの」 「今日はこの部屋に泊まるといいよ」 「そこまで迷惑かけるわけにはいかないよ」 「迷惑じゃないよ。君はもう僕のものなんだから」 「えっ?」 「君がこの部屋に入った瞬間から君はもう僕のものなんだ」 「言ってる意味が分かんない…」 「別にこの部屋から出たければ出て行ってもいいけど出られるかな?」 彼女はバッと玄関に走り出し、鍵を開けようとガチャガチャとドアノブを回したり、鍵を開けようとしているけど開かない。 開くわけがない。
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