僕いがい、すべて溶けていく

3/4
前へ
/4ページ
次へ
 30分ほど進むと、公園のような場所があり、そこを通り抜けようとすると右斜め45度の角度からシュッ、シュッという音がした。  振り向くと人の気配がして、そこから何か飛んできた。矢だった。無数の矢が僕の方に向かって飛んできた。 「いきなり、ふざけやがって・・・」  僕は戦闘態勢に入った。右手に持っていたお菓子の剣を構えた。  無数の矢は、僕に向かって殺到してくる。  シュッ、シュッ、シュッ。  だが、そのお菓子でできた矢は到達する前に、どろーんと半円のように曲がり、ストンと地面に落下し、そのままマシュマロの道の中に埋没し同化し溶けていった。  矢は、それからも何本もやってきたが、すべて途中で曲がり溶け、僕のところまでは到達せず、地面に落下したり、建物に刺さって、そのまま溶けて壁と同化したり、それは意味がなかった。  兵たちは、いかにも焦ってますという△の目をして、僕を見つめていたかと思うと、一斉に弓を地面に投げつけて、玩具にしか思えないチョコレートだかで構成されている弱そうな剣をふりかざし、突進してきた。  だーーーー。  がーーーー。  ぐぅーーー。   だが、彼らはある一定の距離まで近づくと、急に 立ち 止まり躊躇しだした。  何人かは突出してきたが、その兵たちは、僕のところまで到達する前に半分溶け、1mくらいの距離まで来た時には、8割方溶けていて、手足はケロイド状に足は地面の中に溶け込み、もう、そこから一歩も前には進めなかった。 そこで僕はあることを理解した。  ここの世界はお菓子で出来ていて、何故か、先ほどから温度が急激に上昇していて、それが原因ですべてが溶け始めている。  どうも、その根源が異世界からやってきた僕にあるようで、だから、彼ら城の兵たちは必至になり僕を殺そうとしているらしい。  だが、どう考えても、それが僕のせいだとは思えない。  たかが一人の人間に、そのようなことができるわけがない。  僕は神ではなく。  僕は悪魔でもなかった。  僕は、ただの人間なんだ。  ・・・・だ、だ、だ、だ、だ。  目の前の兵が液体のように流れ出した。   
/4ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2人が本棚に入れています
本棚に追加