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道や、建物がゆっくりと爛れていくのがわかった。もはや、道はふわふわではなく、べちょべちょになっていて、踏むと接着剤のように足にくっついてくるものだから歩くのが大変だ。
目の前の教会の十字架が中って文字に見えた。
横棒が溶けてそうなったみたいだ。
もう兵は近づいてはこなかった。人も、動物も遠ざかっていった。その目には、僕に対する恐怖が感じられた。
いくら、お菓子の国だからって、それが溶けだすってのは可笑しい。
僕が、この世界に迷い込んだことがトリガーとなり、何かが始まったということなのだろうか?。
それが何かは、まったく見当がつかず、ただ、この異常な現象を僕は恐れるばかりだった。
その時、工事中の建物の上に、透明なセロファンがかかっているのが見えた。
それが光に反射し、鏡のように僕を映し出した。
ゆっくり、僕はそちらに視線を向ける。
そこにあったのは、燃え盛る火だった。
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