正午、アレン兄さんと!

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僕が事務所のインターフォンを押すと、アレン兄さんが出てきた。上等な生地だと思われる白地のストライプベストとズボン、黒いシャツに濃緑のネクタイをキッチリと締めている。アレン兄さんは僕に指先へかけた車のキーを見せた。 「昼飯まだだろ?一緒に食べない?御馳走するよ」 「うっす!ゴチになりまっす!」 ビルの前で待ってる様に言われたので歩道で待っていると程なくして白いアルファロメオ4cが停まった。TGWの交通ルールはあって無いようなものだけど一応左側通行なので、僕は車道側に回って助手席に座った。 カチリとシートベルトを締めるとアレン兄さんは慣れた手つきでシフトレバーをガコガコ動かして走り出した。 「悪かったね、そんな小さなUSB一個にお前使っちゃって」 優しい声で告げてくるけどその声に反して運転は非常に荒っぽく、ほぼ直角に交差点を曲がって法定速度ナニソレオイシイ?みたいなスピードがメーターに映ってるけど僕は見ていない事にした。 「ううん!物の価値は大きさじゃないよ!実際、アレン兄さんの所行くまでに何回かレーザーポイント当たってたし!」 ミラから受け取ったUSBの中身は僕の命など遥かに凌駕する程の貴重なものなのだろう。地下鉄の入り口を出た途端に、僕の額に赤い狙撃用のレーザーポイントが当たった。まあ、それぐらい避けられないとTGW地区ではやっていけないので全部避けて撒いたけどね! 「ハハッ、必死だなぁ・・・TGW地区に情報が来ちゃった時点で諦めればいいのにね。これだから田舎者は困るよ」
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