正午、アレン兄さんと!

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アレン兄さんの走らせる車はTGWにある高層ホテルの入り口に滑り込んだ。この街は本当に悪い人達のごった煮鍋みたいな所だけど、とっても悪い人のへのVIP待遇をする為にこういった5つ星の一流ホテルもあったりする。まぁ、主にマフィアのお偉いさんが視察に来た時とかに使ってるみたい。 アレン兄さんはドアマンに鍵を渡すとスタスタとホテルの中へと入っていった。僕も後を追いかける。 ホテルの2階にあるフレンチレストランに連れて行かれると、支配人みたいな初老の男の人がアレン兄さんへ深いお辞儀をしていた。 「いつも御贔屓ありがとうございます、スミシー様」 「席空いてるよね?」 アレン兄さんがまるで決定事項の様に言うと、支配人のおじさんは僕とアレン兄さんを個室の部屋へ通してくれた。窓の外からはTGWの街がよく見える。その窓は低層なのにも関わらず厚さが30cm程あった。狙撃防止の特別室みたいだ。 「好きなの頼んでいいよ」 僕はメニューを開いたが全部フランス語で書いてあるので全く読めなかった!なので、今自分が食べたいと思ったものをアレン兄さんへ告げた。 「僕、牛丼大盛り生卵がいい!」 アレン兄さんがポカンとした顔で僕を見つめると暫くしてからメニューを閉じて傍に控えていた支配人へ 「牛丼大盛りと生卵2つずつ」 と告げた。支配人はその言葉へ何も言わずに頭を下げて厨房へと姿を消していった。 「お前なぁ・・・フレンチレストランで牛丼頼むなよ・・・」 「なんか、今日は牛丼のきぶん!」 アレン兄さんは小さく溜め息をつくとテーブルの上に手を差し出したので僕はポケットに入ってたUSBメモリーを手渡した。 「確かに受け取ったよ」 「あ、ミラが報酬はいつもの口座にって!僕の報酬もアレン兄さんから受け取ってって!」 「アイツ、チャッカリしてるなぁ・・・これだから末っ子は・・・まぁ、いいけどね」 アレン兄さんはUSBを胸ポケットへ仕舞った。僕の仕事は届けもの屋で商品が何なのか、どんな理由で必要なのかは聞かないルール!僕がレモンの輪切りが入った炭酸水をチビチビ飲みながらチラリとアレン兄さんの胸ポケットへ視線を送るとアレン兄さんはクスリと笑った。
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