正午、アレン兄さんと!

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「中身知りたい?ハレルヤになら教えていいよ?」 「うぇ!?聞いたらズドン!とかはナシっすよ?」 「ハハッ、しないよ。これはもう僕の手に渡った時点で価値が無くなったものだからさ。コレの中身は原板だよ。500ユーロ札・・・・・・の経済錯乱用紙幣のね」 「ニセ札っスか」 ズバリと分かりやすい言葉を使った僕にアレン兄さんはいつもの困り眉をさらに下げていた。 「品の無い言い方はするなよ・・・まぁ、これでとあるオリンポスの神様が住まう国はもうちょっと生きていけそうだってだけ」 アレン兄さんがニセ札の原版を手に入れた事によってアレン兄さんが何を得て誰が損をするのかは分からない・・・僕は、目の前に出された部屋の様式にまったくもって似つかわしくない丼に意識を集中させる事にした。 「ああ、ハレルヤがうちの会社に入ってくれたらなぁ・・・大分僕も楽になるのに・・・」 アレン兄さんは丼の飯をかき込みながら愚痴を零していた。アレン兄さんは僕に会う度に同じ事を言うのだ。 「んー、僕ネクタイとか苦手だから無理かな!!」 「まぁ、確かに残業代も危険手当も、休日出勤代も出ないスーパーブラック会社だけどさ・・・」 アレン兄さんの弁護士の顔は『表の顔』だ。今話している『会社』というのがアレン兄さんの本来の仕事みたい。でも僕はその会社が一体どんな会社でどんな仕事なのかは知らない。というか、知らないほうが良い事は世の中にいっぱいある事を僕は知っている! あ、14時にマニエル兄さんと約束してたんだ!アレン兄さんに送ってもらおっと!
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