3.

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イタズラをした後のタロウみたいだ、と陽太は思った。 その反省の色を見せる仕草が可愛くて可笑しくて、笑ってしまいそうになる。 彼は笑いを堪えながら、やっとキスの余韻から抜けつつある口を、ゆっくり開く。 「今度したら、絶交しますからね?」 そーゆーヘンなコト絶対しないって約束でしたよね? 今日は誕生日だから、トクベツに許してあげますけど。 そう、囁くと。 心からホッとしたように、鷹城は頷いた。 「二度としない…けど」 言いながら、そっと、窺うように陽太を見る。 「合意して貰えたら、してもいい?」 こちらが譲歩すると、すかさず切り込んでくる。 実は全部、鷹城の策略で、彼の思うツボにはまってしまっているのではないかと、陽太は疑いたくなる。 でも、まあ、いいか。 そんなふうに思ってしまうのが、鷹城の不思議な魅力だ。 こうして抱き締められていることも、既にずっと前から当たり前のようにそうしていたかのように、違和感なくその腕の中におさまっているのだ。 つい昨日までは、指先一つすら触れないよう気をつけてくれていたはずなのに。 「陽太君、それマジなの?天然なの?セージみたいな変態、許しちゃっていいの?」 それはいかんよ?マジで神対応だけど、天使みたいに素直で可愛いけど、それじゃ、セージみたいな悪魔にあっという間に喰われちゃうよ? 前の席でそんなふうに喚いているアオイのことは、鷹城はもう完全に無視している。 陽太に、念押しのように「合意したら、ですよ?」と許可を貰って、満足したのだろう。 幸福そうに、陽太の身体をすっぽり自分の腕の中におさめて、何やら鼻唄を唄い始めた。 「陽太に触れてるだけで、幸せで幸せで、音が目一杯溢れてくんだよな…このまま、新しい曲、できちゃいそ」 できれば腕の中から解放してくれないかな?と思っていた陽太だったけれど、その鼻唄がとても美しい旋律だったから、おとなしく抱かれたままでいることにした。 鷹城は、途中から真剣な顔になってきて、スマホを取り出すと何やら打ち込み始める。 それでも、陽太の身体を離そうとはしなかった。
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