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衝撃に、言葉が出てこない陽太に、姉は更に追い打ちをかけた。 「本当に、曲自体は物凄くいいのよ、悔しいことに。だからここまで話題になってるわけだし。これが曲がそのへんに溢れてるようなものだったら、ここまで話題にならなかったと思う…閲覧数稼ぐためのヤラセかなんかだと思われて」 そもそも、自分のために書いてくれた曲をこんなふうに流出させるなんて、最低な恋人じゃない? セージが実在してるのが本当だとしても、こんな馬鹿なことする恋人と付き合ってるなんて、なんだかセージ本人にもすごい幻滅するかも。 そーゆーことが、ものすごくネットで論争になってて、本物のセージらしき人はこの人じゃないか、とか、この恋人へのバッシングとかが過熱して炎上して、大騒ぎになってるらしいわよ。 姉は言いたいことを言ったら、さっさと自分の部屋へと引き上げて言ってしまった。 この曲は、陽太のためだけに鷹城が作ってくれた曲だ。 陽太は、曲が生まれた瞬間に立ち会っている。 だから、セージが恋人のために作った曲だというのは間違いじゃない。 でも。 彼はこの曲を自分だけの宝物だと思って大事に大事にしていた。 鷹城の正体が世間にバレて、今のように自由に一緒にいられなくなるのも嫌だから、流出なんて絶対させていないし、この先も隠し通したい。 じゃあ一体、誰がこれを流出させたというのか。 陽太は、慌てて自身のスマホを操作して、セージについて検索してみる。 「このひとがセージじゃね?」 そういう書き込みがたくさん上がっていて、アオイに似てる男の写真が様々出ている。 どれもこれも多少似ているぐらいで、全然無関係の人の写真ばかりだったけれども。 その中に。 「これ、セージとその恋人じゃん?」 という1枚の写真があった。 夏のフェスの写真だ。 そこに写っているのは、間違いなく鷹城だ。 鷹城を撮るためというよりは、何かを撮るときに写り込んでしまったのを拡大して上げているのだろう、横顔ではっきりとは写ってはいない。 が、彼のあの特徴的なアッシュグレーの髪ははっきりとわかる。 サングラスをかけているから、瞳の色まではわからないようだが。 そして、その隣にいるのはもちろん陽太だが、陽太のほうは背が低いため、髪の毛しか見えていない。 男女の区別もつかないから、二人の距離は近いし、確かに恋人のように見える。
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