ねぇ、先輩。

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ちょっと聞いてます? 先輩ってば。今日の練習は……、あ。 ……へぇ、先輩ってそういう女の子が好みなんです? 色白で胸が大きくてちょっとむっちりしててゆるふわな年上のお姉さん系。 へぇー。そうなんですねぇー。 む、今私とは真逆だって思いましたね! えぇ、まぁ、そりゃあ、私は陸上やってますから肌は焼けてますし? 胸はあだ名が『まな板』になるくらいにはないですし? 無駄な肉は全部落として筋肉にしなきゃいけないからむっちりなんてありえないですし? ゆるふわとかキャラじゃないですし? 私は先輩より年上のお姉さんにはなれませんし? ……今のは聞かなかったことにしてください。 いや、別に私は先輩の好みのタイプになりたいわけじゃないですし、というか、なりたいわけないじゃないですか。あは、先輩ってばジイシキカジョーなんじゃないですか。 だいたい私が好きなタイプも先輩なんかとは真逆なんですからね。 優しくて、紳士的なイケメンで、えっと、汗臭くなくて、運動神経はいいけど体育会系じゃなくて、頭が良くて、あー、あ、そう、年上っ、じゃなくて、あと、えーっと、胸が小さくても筋肉ついてても気にしなくて、ゆるふわ系の年上のお姉さんじゃなくても気にしなくて、優しくてイケメンな人……です! ふふーん、どうです? 先輩とは正反対でしょう? なんですかその顔は。無理やり先輩と逆のタイプを考えたわけじゃありませんからね。 先輩なんか足が速いことくらいしか取り柄ないじゃないですか。彼女なんてできるわけないでしょ。 いてっ、あっ、ほら、すぐ怒る! そういうところです! いたっ、やだ、デコピンやめてください! ……だいたい先輩なんかがそんな、見た目からしてハイスペックな彼女が欲しいだなんて贅沢なんです。 せいぜい妥協に妥協を重ねて真逆でゆるふわのゆの字もないようなブサイクで性格の悪い最悪な子を彼女にしておけばいいんですよ。 なんです? 突然真面目な顔しちゃって。 え、何です、か……。 え、……。あ、えっと……。 し、仕方ないですねぇ! そこまで言うなら私が先輩の彼女になってあげましょう! ブサイクで性格の悪い最悪な子が初彼女にならなくて良かったですねぇ! あっ、勘違いされたくないので言っておきますけど! ……私はちゃんと先輩のこと好きですよ。
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