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体の傷はもう癒えたが、心の方は未だヒリヒリとしみる時がある。
従兄とは転校してからは全く会っていないが、汐入はクラスメイトなのでそうもいかない。
時どき合う目が、自分を見る視線が痛い。と浅利は思う。
「汐入のおかげで君の体の中はキレイになったとは言え、早く忘れた方がいい。それが君の為でもあり、汐入の為でもあるんだ」
あくまでも穏やかにやんわりと諭してくる渥見に、浅利は言葉以上のものを求めた。
「でも先生、変なんです。キレイになったはずの体が何だか寂しくてさみしくて、冷たい・・・」
上目遣いに見てくる浅利の、地味で目立たない外見の内に隠されていた柔らかい体を思い浮かべて、渥見は知らない内にクスリと笑いをこぼしていた。
「又、何時もみたいに温めて欲しいんだね?・・・おいで」
渥見は掛けていた眼鏡を外すと、浅利をベッドへと誘い引き込んだ。
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