1 保健室での身の下相談

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 ・・・体の中から渥見にトロっトロに温められて、すっかりと満たされた浅利が出て来て、階上へと行ったのを確かめてから、向かいのトイレに居た汐入は保健室へと入った。 「ノックぐらいはするものだよ。汀」 「学校では名前で呼ばないんじゃなかったの?日向義兄(にい)さん」  ニヤリと笑う義母の連れ子である汐入に、渥見はため息を一つ吐き、苦笑いを返した。 「汀が上手くヤッてくれれば、わざわざ僕が口や手を出さなくて済んだのに。僕だって、こう見えても色いろと忙しいんだよ?」 「その割には毎週まいしゅう、飽きもしないで楽しんでるじゃん。ココでイチャイチャしちゃってさ」 言って汐入は、明らかにあからさまに乱れているベッドへと勢いよく腰を下ろした。 「拗ねてるのかい?・・・それとも、妬いてるの?」  ようやく何時も定位置である丸椅子に座ったばかりだというに、渥見は義弟によってベッドサイドへと引き戻された。 「両方だよ。おれのこと下手クソって言うのなら、義兄さんがもっと教えてよ。一応、保険医なんでしょ?」  中腰で覗き込んでくる義兄の白衣の襟を握り、引き寄せ汐入は言う。 その手をに渥見は自分ので覆った。  この、全く血がつながらない義弟は辛口ながら、なかなかに骨っぽくていい。と渥見は思う。  ・・・自分に直ぐにお熱になって、フニャフニャになってしまう誰かさんよりは。 「一応は余計だよ、汀。それに、浅利君には僕なんかよりも、曽田先生とか深川先生とか、それと酒井先生、あ、意外なところでイタリア語のリングーネ先生とかが合うと思うけどな」  浅利を見捨てて、他の男たちに宛がうことを渥見は暗に匂わせる。 無色透明で人畜無害そうな見た目とは異なり、幼い頃より将来、この清水学園の頂点に立つべく育てられたその性格は、知らずに触れるとヤケドをするほど烈しく情け容赦がなかった。  「うわっ!?エグっ!」 汐入は思わず本気で叫んで、渥見から手を体を引き掛けた。  しかし、渥見の手は体はびくともしない。 むしろ、汐入に近付きすらする。  周囲から辛いからいなどと言われている自分だったが、まだまだ甘ちゃんだなと、汐入は目の前の義兄につくづく思い知らされる。  そして、改めて考えた。 「でも、それってアリかも。あいつ、あんなんだから、大抵のヤツは美味しく頂けるか・・・」
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