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「まだ残っている生徒達もいます。ここで話していては、少し目立ってしまいますよ」
いつの間にかそばに来ていた緒方が、オヤジに声を掛ける。
「・・・ああ、そうだね。近いうちに連絡するよ、ミナトくん」
真面目クンの父親が柊さんの肩を撫でた後に、その場を去ろうと歩き出した時
「私達も行きましょう」
緒方は わざとらしくそう言うと、振り返ったオヤジに見せつけるように、柊さんの肩を抱いて歩き出す。
「ほう・・・教師と父兄がそういった関係はまずいんじゃないのか?」
「あなたにも、ご家族に知られたくないマズイ過去があるんじゃないですか?ここは見過ごして頂けませんか?」
オヤジと緒方はお互いを牽制する様に視線をぶつけ合う。
「失礼するよ」
先に視線を逸らしたのはオヤジの方だった。
オヤジの姿が見えなくなって、ようやく緒方が柊さんから離れる。
「ごめん、ミナト。余計な事したかな?」
「・・・いえ。助かりました。実は、あの人の事、覚えていなくて・・・昔の話を出されて困ってたんです」
「そうか。役に立てたなら良かった」
柊さんと緒方の会話を、俺は何もできずに聞いているしか無かった。
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