求めたもの

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「・・・万里さん、何で?」 ソファに横たわって目を閉じている柊さんと、それを介抱する様に傍にいる万里さんがいた。 どうして万里さんが・・・?シウの生放送は? 柊さんに万里さんのジャケットがかけられているけど、その下は裸だと分かる。泣き腫らした柊さんの顔と、太腿についた血の跡を見て、俺は全身の血が沸き上がるのを感じた。 「万里さんが、やったんですか!?どうして!」 万里さんの胸ぐらを掴んで問い詰める。 何で?俺に、柊さんを受け入れろって言っておいて、今更何でこんな事・・・ 「・・・夏、・・・違う」 目を閉じたままの柊さんが、万里さんの代わりに小さな声で答える。 柊さんの傍にしゃがんで声が聞こえるように顔を寄せると、切れた唇が痛々しくて ズキッと胸が軋んだ。 「万里には・・・迎えを頼んであっただけだよ・・・万が一の時の・・・保険をかけてた」 「万が一、って何ですか!?万里さんじゃないなら、誰と・・・っ」 言いかけて、さっき見かけた長澤の親父の顔が浮かんだ。 もしかして・・・やっぱり、アイツが・・・ 「ブッ殺してやる・・・!」 立ち上がろうとした俺の腕を、力無い柊さんの手に掴まれる。 「待て、夏っ!もういいから・・・長澤の、弱みは握ったから・・・もう近付いてきたりしない」 振りほどこうと思ったけど、あまりに弱々しく掴む手を振り払う事ができない。 「弱みって・・・」 どういう事だよ。 「こうなるように仕掛けたのは・・・俺だから」
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