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個室に戻ると、ソファに座ったままシャツに袖を通した柊さんが「こっち来て」と手招きする。
傍まで寄ると、柊さんは拗ねた様な表情をした。
なんでそんな顔すんだよ。
柊さんが他のヤツに抱かれて、拗ねたいのはこっちだっつーの!
「ボタン、留めて」
「えっ?あ・・・ハイ」
少し屈んで柊さんのシャツのボタンをひとつひとつ留めていく。
「なあ、俺、偉い?」
「は?」
偉いって?
「夏の事、護ったんだぞ?・・・褒めて、くれないのか?」
褒め・・・?どゆこと?
「・・・俺は外で待ってればいいのか?」
呆れたように言う万里さん。
「別に居ていいよ。夏、早く」
座ったままの柊さんが、正面から腰に抱きついてきて頭でググッと俺の腹を押してくる。
「・・・俺、偉かった?」
これは・・・もしかしてだけど、撫でろ、って事なのか?
半信半疑で 柊さんの頭にそっと片手をのせてみる。
「え、っと・・・偉かったですね・・・?」
って言えばいいのかな?
「うん」
満足そうに微笑みながら見上げて来る柊さんが、愛おしくて、可愛すぎて、きゅうぅっと胸が締め付けられる。
それと同時に、自分を大事にしないこの人に、だんだん怒りが込み上げてくる。
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