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「約束します」
少しだけ震えている柊さんの体を強く抱きしめる。
「夏が死なないなら、俺も約束する。もう夏以外とはしない」
柊さんの肩の力がフッと抜ける。
間違ってもいい。すれ違ってもいい。
出逢った時から、俺達はすれ違う運命だったんだから。
それでも今、同じ時間を共に生きれる。それさえあれば、どんな事も乗り切れる。俺はそう信じたい。
万里さんの車に乗り込むと
「おっそい。くそマネ待たせ過ぎ」
と、3列シートの一番後ろの座席からシウの低い声がした。
「ごめんな、シウ」
申し訳なさそうに謝る柊さんを見て、シウは「・・・別に」と言ってシートに放り上げていた足を下ろした。
「男同士でモメるのって大変そうだね」
ボソッと呟いたシウは、シートに寄りかかり、マスクをつけて目を閉じた。
男同士、家族、歳の差、二人の過去・・・
柊さんと俺には色んな障害がある。
だけど、求めているものはきっと同じ。
そう信じて、俺は柊さんの手をぎゅっと握り締めた。
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