家族の資格

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「今日からここが、夏くんの家だよ」 連れてこられたのは、明後日から通うことになる高校からほど近い場所にあるマンションだった。 「この部屋が夏くんの部屋。一応一通りの家具は用意してあるけど、足りないものや必要なものがあったら遠慮なく言って。となりが俺の部屋ね」 施設と違って、真新しい家具、清潔そうな寝具。何より、自分の部屋が与えられたことが、俺にとってはいちばん嬉しいことだった。 「ありがとうございます!俺、ひとり部屋ってめっちゃ憧れだったんですよ」 「そっか、夏くんが喜んでくれたなら俺も嬉しいよ。荷物片付けたらダイニングの方に来て。夕飯にしよっか」 少ない荷物を片付けてダイニングへ行くと、柊さんは、パソコンでピザを注文していた。 「ごめん。なんも用意してなくて、俺、料理も出来ないから、今日はピザでもいいかな?」 「ピザなんて施設にいる時はめったに食べれるもんじゃなかったから、めっちゃ嬉しいです!」 「・・・そっか。今度、家族になったお祝いと、夏くんの入学祝い、あらためてやんないとな」
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