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翌週末
俺は約束通り、河森を家に招いた。
「なんでお兄ちゃんまでいるのよ!」
「居たっていいだろ。お前は夏くんに会いに来たんだろ?俺は湊の所に用があって来ただけだ」
何の用なんだか・・・。
訪ねて来た万里さんに、俺は嫉妬心しか湧いてこない。
ダメだ。柊さんをちゃんと家族として好きになるって決めたのに・・・。我慢、しねーと・・・。
「せっかく新しいワンピ着てきたのに、お兄ちゃんのせいで無駄にしかなんないじゃん!つまんない!夏くん、やっぱり出掛けよ!」
家に来たばかりの河森は、超絶不機嫌になって玄関を出ていく。
えー・・・できれば柊さんと万里さんを二人きりにしたくないのに。
仮とはいえ、彼女の後を追わない訳には行かない。
マンションを出て、駅のすぐそばのカフェに入る河森を追って、俺も店の中へ入った。
山盛りのクリームがのった甘ったるそうなドリンクを奢らされて、テラス席に座る。
「お前さぁ、勝手な行動し過ぎ。万里さんがいても別にいいだろ」
「やだよ。柊さんとお兄ちゃんが友達だったのはラッキーだけど、ぶっちゃけ邪魔でしかないし。お兄ちゃんいたら、夏くんとの事冷やかされて柊さんどころじゃなくなるもん」
友達じゃねーぞ、あの二人。知ったら河森、ブチ切れそうだな。
「ってゆーか、お兄ちゃん、せっかくの休日に奥さんほっといて友達の家に遊びに行ってるとか、意味わかんない。たまには奥さんとデートでもしろっつーの」
・・・え?
・・・奥さん?
「万里さん結婚してんのか!?」
「そうだよ。柊さん、言ってなかった?」
知らない。万里さんの話なんかしないし・・・。
て事は、柊さんは、万里さんが既婚者だって知りながら、体の関係を持ってるっていうのか・・・?
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