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柊さん、何考えてるんだよ・・・。
男同士でも、不倫、になるのかわかんないけど、奥さんのいる人と・・・そんなのダメだって事くらい、子どもの俺にだってわかる。
腹の中が熱くて、捩れそうなくらい気分が悪い。
奥さんがいるのに柊さんを抱いている万里さんにも、相手が既婚者だと知りながら抱かれている柊さんにも、嫌悪感が込み上げてくる。
「夏くん?どうしたの?体調悪い?」
河森は心配そうに俺の顔を覗き込んでくる。
「・・・いや。大丈夫」
こんな事、河森に言えない。
いくら気の合わないムカつく女だからって、自分の兄が男と不倫してる、なんて言って傷付けるのは気が引ける。
何も知らない河森が目の前にいることで、俺は少しだけ冷静さを取り戻せた。
河森に知らせちゃいけない、というおかしな使命感だけが、平静を保つための唯一の支えだった。
「なんかさぁ、たまにはネカフェ以外のとこ行きたいなぁ」
この女、まためんどくさいこと言い出したぞ・・・。
「遊園地、行かない?」
はあ?なんでお前とそんなマジデートしなきゃなんねんだよ・・・
・・・と、思ったけど今日はネカフェなんかにこもってたら、あの二人の事ばかり考えてしまいそうで・・・
「いいよ。行こう」
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