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息子の資格 父の資格
高校入学式当日
柊さんは、仕事を休んでくれていた。
俺は新しいブレザーに袖を通し、スーツをビシッと着こなした柊さんと一緒に高校までの道を歩く。
さすが、若くても社長なんだな。それほど身長が高いわけでもないのに、高そうなスーツを着こなして、パッと見はモデルみたいだ。
それに比べて、俺は、身長は柊さんよりも少し高いけど、制服に着られている感がハンパない。まだまだ成長期だからと、少し大きめに仕立てて貰った制服が、余計に着られている感を醸し出している。
俺も、柊さんみたいな大人になりたい。
入学式が終わり、校門や校舎をバックに、それぞれ家族と写真を撮っている。
「夏、俺たちも撮ってもらおう」
そう言って、近くにいた教師に声をかけ、柊さんがスマホを渡す。
初めて一緒に並んで撮った写真は、二人ともぎこちなく、どこから見ても親子には見えなかった。
「柊さん、ただでさえ若く見えるから、なんか兄弟みたいですね」
「そうだな。夏の方がデカいのがちょっと気になるけどな」
「そのうちもっと差つけてやります」
「なんか、それ嫌な気もするけど・・・まあ、楽しみにしてるよ」
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