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一旦マンションに帰り、着替えてから駅前のホテルのレストランへ行くことになった。
「夏、入学おめでとう。それと、遅くなったけど、養子縁組、受け入れてくれてありがとう」
俺達は、シャンパンが入ったグラスと炭酸水の入ったグラスを合わせて乾杯する。
「俺の方こそ、柊さんに感謝してます。俺を養子にしてくれてありがとうございます」
「・・・俺は、夏に感謝されるような人間じゃないよ」
「え?」
「なんでもない。それより、これ、入学祝い」
「マジですか?うれしい!開けてもいいですか?」
「ああ」
「これ・・・スマホ?」
紙袋に入った箱を開けると、柊さんと同じ機種のスマホが入っていた。
「何をプレゼントしようかと悩んだんだけど 、これが一番使えるかと思って」
「ありがとうございます。大事に使いますね!」
「帰りが遅くなる時は、ちゃんと連絡しろよ?」
「はい!・・・なんか、親がいたらこんな感じだったんですかね?俺、入学式卒業式って、来てくれたのはいつもシスターだったんです」
「・・・」
「あ、すいません。なんかしんみりしちゃいましたね。今は、柊さんがいてくれるから、さみしくないです、むしろ楽しい」
柊さんは、そっか、と小さく言って、その後は俺の話を聞きながら、何杯もシャンパンを飲んでいた。
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