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絡まった腕を首からそっと外し、柊さんの体をソファに寝かせる。
「酒くっせぇ・・・酔っ払い過ぎだよ、柊さん」
眠る柊さんの顔をまじまじ見てみる。
本当に25歳には見えないくらい若く見える。
一緒に高校に通っても違和感ないな、この人。
え・・・?
柊さんの閉じたままの目尻から涙が流れた。
泣いてんの?
俺は、柊さんが泣いている驚きで、思わずドキッとする。
流れる涙を指で拭うと、柊さんが俺の指に擦り寄るように、顔を寄せた。
ドッドッドッドッドッドッ
あれ、なんだこれ。なんか、心臓の音がやけにうるさい。なんか、この感じ、何かに似てる気がする・・・
「・・・な、つ」
寝言で名前を呼ばれて、心臓が大きく跳ねた。
やばい、この感じ。これってもしかして・・・
俺はガバッと立ち上がり、ソファに掛かっていたブランケットをバサッと柊さんにかけて、自室に駆け込み、ドアを思いっきり閉める。
うるさい心臓の音が、寄りかかったドアに反響して、全身に返ってくる。
「絶対ダメだろ。仮にも父親になってくれた人を好きになるなんて。ありえねぇ」
俺は自分に言い聞かせるように呟いた。
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