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狩られる
※この章は 柊視点になります。ご注意ください※
夏に打ち合わせだと言って、ある人に指定された場所へ向かう。
そこは、俺にとっては懐かしくもあり、二度と戻りたく無かった場所。
歓楽街にあるハプニングバー。
男女構わずヤリたいヤツらが集まって、適当な相手を見つけてそういう行為をする場所。
俺は昔、この場所で客を漁っていた。
年齢を偽って店に入り、誘ってきた男との事後に「実は未成年だった」と打ち明け、口止め料として金を払ってもらう、そんな事を繰り返していた。
相手が気に入ってくれれば、別の日にホテルでまた体を買ってもらう。
これが俺のウリの手段だった。
バーに入り、カウンターで約束の相手に言われた名前を告げると、バーの奥の個室へと通された。
待ち構えていたのは、夏が怪我をさせてしまった相手の父親。
俺の昔の客だった。
「待っていたよ。あの教師と違って、君はなかなか利口なようだ」
「長澤さん」
「思い出してくれたのか?」
「・・・ええ」
正直、忘れていたかったけど・・・
貰った名刺と、汚い記憶の中からなんとか引き摺り出して、このオヤジがどんなヤツだったかを思い出した。
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