僕は君の・・・

1/11
1792人が本棚に入れています
本棚に追加
/177ページ

僕は君の・・・

「俺は柊さんの、何ですか?」 「・・・ん・・・」 まだ肌寒い季節の昼過ぎ。大きな窓からの西陽で部屋の中はとても暖かい。 俺は、早く起きろよ、と思いながら 隣で眠る柊さんの耳朶を指で挟んで撫でる。 だけど一向に目を開ける気配の無い彼に、起こすのを諦め寝顔を見詰めた。 あ・・・、柊さんの瞼、少しカサついてる・・・。 若く見えるけど、もう35歳だもんなぁ・・・寝不足が肌に出てるな。 あの事故から20年、柊さんと家族になってから10年が経った。 柊さんは相変わらず社長らしくない社長業、俺は彼の会社でCGデザイナーとして働く毎日。 彼のセックスへの依存は変わる事が無く、俺の方がギブアップする事もあったり・・・時々喧嘩もしつつそれなりに幸せではある。 ただ、もういい大人になった俺を未だに『息子』扱いする柊さんに、正直ウンザリしてしまう時がある。 可愛がってくれてるのも大事にしてくれてるのもわかるんだけど・・・男としてこの人を守って行きたいっていう俺の想いは完全にスルーされている状態だ。 そりゃ、一企業の社長サマと従業員じゃ、立場も稼ぎも違うけどさ。 高校生の時から柊さんを抱いてんのに、あんなに甘えてくるくせに、なんで『息子兼恋人』から『ただの恋人』に昇格させてもらえねぇんだよ! このままだと、柊さんの葬式で俺は『喪主 長男』って紹介されてしまう・・・! ・・・まあ戸籍上それはそれでいいんだけど、とにかく事ある毎に『息子』を連発するのはもう勘弁して欲しい。
/177ページ

最初のコメントを投稿しよう!