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僕は君の・・・
「俺は柊さんの、何ですか?」
「・・・ん・・・」
まだ肌寒い季節の昼過ぎ。大きな窓からの西陽で部屋の中はとても暖かい。
俺は、早く起きろよ、と思いながら 隣で眠る柊さんの耳朶を指で挟んで撫でる。
だけど一向に目を開ける気配の無い彼に、起こすのを諦め寝顔を見詰めた。
あ・・・、柊さんの瞼、少しカサついてる・・・。
若く見えるけど、もう35歳だもんなぁ・・・寝不足が肌に出てるな。
あの事故から20年、柊さんと家族になってから10年が経った。
柊さんは相変わらず社長らしくない社長業、俺は彼の会社でCGデザイナーとして働く毎日。
彼のセックスへの依存は変わる事が無く、俺の方がギブアップする事もあったり・・・時々喧嘩もしつつそれなりに幸せではある。
ただ、もういい大人になった俺を未だに『息子』扱いする柊さんに、正直ウンザリしてしまう時がある。
可愛がってくれてるのも大事にしてくれてるのもわかるんだけど・・・男としてこの人を守って行きたいっていう俺の想いは完全にスルーされている状態だ。
そりゃ、一企業の社長サマと従業員じゃ、立場も稼ぎも違うけどさ。
高校生の時から柊さんを抱いてんのに、あんなに甘えてくるくせに、なんで『息子兼恋人』から『ただの恋人』に昇格させてもらえねぇんだよ!
このままだと、柊さんの葬式で俺は『喪主 長男』って紹介されてしまう・・・!
・・・まあ戸籍上それはそれでいいんだけど、とにかく事ある毎に『息子』を連発するのはもう勘弁して欲しい。
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