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「なんだ、すりゃあ。ボロ小屋って、僕の家のことだろ」
「ああ、そうだ」
「そんなこと、金輪際あるわけ・・」
「この世界の話ではないがな」ドクは言った。
「お得意の、”別の平行世界”でって言うんじゃないだろうね」
「ぴんぽ~ん」
「そんなの引き合いに出されても、困る。僕には検証のしようがないのだからな」
「おまえさんの小屋にプリンセスたちは来たのだよ。NYで幻魔ザメディと戦った後、な。そこから首の皮一枚で逃げ出したザメディが、日本にいる仲間のザンビと共謀して再起を目指していると知って、あわてて全員で日本に舞い戻ったのだ。テレポートのサンボ、サイボーグ戦士のベガそして、プリンセス・ルーナ」
「おいおい、冗談は・・プリンセスって、まさかトランシルバニアの?」
「ほかに、誰かいるとでもいうのか」
「いや、ただ、信じられない」
「そもそも、おまえさんは、プリンセスの策謀によって、その超能力を強引に開花させられたのだからな」
「なんか、信じられない。トランシルバニアのルーナ王女は、若くして死んでしまったのに」
「ああ、この世界ではな。その別の世界では、当時、おまえさんは高校生だった」
「いったいいつの話だよ」
「だから、おまえさんが高校生の・・」
「それ、40年近く前の話だっての」
「そこで、戦いの中で、お前さんは、いやプリンセスが、かな、まあ、いい、こんなのは、どっちが先ってことはないはず。とにもかくにも、おまえと、プリンセスは、戦友の間の絆を越えて、恋に落ちた。これは、間違いない。どうも、すぐにおまえさんは、その肝心なところを忘れちまうようだがな」
「しかし・・プリンセスは、この世界では死んでしまった」東丈は、もう一度言った。「死んでしまっているのだよ、ドク」
「む」その語気に、ドクは小さくたじろいだ。
しかし、むしろその強さに、東丈自身が驚いていた。
「できることなら・・彼女にインタビューしたかった。彼女の調子が悪いという情報は得ていて、旅費を積み立てている間に亡くなってしまった。本当に残念だ、超常現象研究家として」
しかし、東丈の言葉は、どこかとってつけたようだった。
「おまえさんとプリンセスは、出会って恋に落ちる運命にあったのだな。読んだろう、あの魔法大戦という、この世界にはない漫画を」
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