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「僕とプリンセス、そしてその間の子供が、宇宙を席巻する大魔王とその一族軍団に反転攻勢を仕掛けるという、あれ、だね。もちろん、まだ、この部屋のどこかにあるはずだが」
「ひとたび幻魔との戦いが始まると、悲惨だ。巻き込まれて、多くの人間が死ぬ。多くの人間がな」
「なんだ、残念だ、なんて幻魔のおまえがいうんじゃないだろうね、ドク」
「もちろん、言わん。下らん人間が何人死のうが、幻魔の我輩の知ったことではない。そうでなくても、この地球は阿呆で罪深い人間の重さで沈みそうなのだからな」
「だよな」
「しかし、プリンセスは違ったようだ」
「プリンセスは・・?」
「ああ、高慢な白人至上主義のお姫様の癖に、それだからこそ”高貴なる者の義務”と信じて、フロイに見せられたあの夢を、アンドロメダでの大連盟の敗戦を肝に銘じ」
「言うな」
「肝に銘じてこの世界のプリンセスは」
「言うな、ドク」
「この世界のプリンセスは一人で、幻魔と闘うことにしたのだ。たった一人でな」
「む・・・しかし、そんなことができるのか」
「とにかく、彼女は、やり遂げたのだ・・その命に代えてな」
「ドク!それ以上言うな、ドク」
「プリンセスは、まさにその命を削って、人間の使える・・超絶超能力者でも使えないほどの超能力を使って、67年にこの地上に現れた7匹の幻魔の工作員を、”歴史を変えて”退治したのだ」
「・・・」
「それが、どれほどの地獄の苦行だったか、おめでたいおまえさんにはわかるまい」
「ドク・・いや、彼女は、体調を崩した彼女はトランシルバニアから外遊はしていないはずだ」
「それは、半分は正しく、半分は間違っている。プリンセスは、最初のうちは自分の隠密行動を隠すために、後半は本当に体調を崩して、動かなかったのだ」
「しかし・・そんなことが」
「できる・・さしもの幻魔も、地球に到着した当初は、その力を発揮するまでは、時間がかかる、相対的に無力な死霊に過ぎないからな。その死霊風情に過ぎない間に思念で攻撃すれば、プリンセスにも対抗できるというわけで」
「でも、それはあくまで理論上の話だ。理論と現実は違う。テレパシーで幻魔を攻撃するということは、彼女と幻魔の間に思念の交流が発生し、その邪悪な思念を引き受けることになる。それは、生身の人間には、あまりにタフな試練だ。それを個別にしても七匹も相手にするなんて。正気の沙汰じゃない」
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