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 人の体から、花が咲いていた。 「実際に見ると、なかなか衝撃だろう?」 「想像していたよりも数倍は不気味だな」 「吐く者も多いよ。医者ですら、気分が悪くなることもある。君はあまり変化がないな」 「これでもだいぶ動揺してる」 「冷静な方さ。医者のように生かす職につくものより、君のように殺める側の人間の方がこういうのに耐性があるのかもしれないな」 「こういうの?」 「生命を冒涜したようなものさ。医者は生命を尊重する」 「俺は冒涜している側だからな」 「その通り」  花は、体を突き破り、白い花を咲かせている。根はグロテスクに体を這い、肉に食い込んでいる。体を突き破ってからも、なおも根を伸ばし続け、そのうち体の全てを吸いつくす。 「命の色だと言われている」 「命は白いのか?」 「さてね。だが、どんな人間でも、咲く花の色は同じだ。人間に共通しているものは命。だから、これは命を吸った色なんだとさ」 「詩的だな、こんな見た目なのに」 「花そのものは美しいからな」  死花病(しかびょう)と呼ばれるこの謎の病。それは、現在に至るまでその性質を解明できてはいない。     
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