優れた嗅覚

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優れた嗅覚

 サトシはとある研究所の若手研究員である。人間の嗅覚を高める薬品の開発に注力していた。 「ああ、この芳醇なワインの香りをもっと楽しめたらな。」  そんなことを思いながら日々食事をしていた。もっと鋭い嗅覚があればワインの香りだって、肉が鉄板で焼けるジューシーな香りだって堪能できると考えていた。  サトシは先天的に嗅覚が弱かった。ものを限りなく自分の鼻に近づけないと匂いが分からなかった。しかし、子供のころから道に咲く花の香りや青々とした芝生の香りをほかの子供よりも興味を持ちながら生活をしてきた。大人になっても嗅覚への情熱は変わらずにいた。
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