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第二章 それはゲームから始まった
そして3か月経ったある日、またも梨華から突然メールが届いた。
「今日、私とデートしない。本当は香奈子と食事に行く予定だったんだけど、香奈子がダメになっちゃったわけ。で、大野君どうかなと」
松島香奈子も同期の一人だ。しかし、デートという言葉を使いながらも、香奈子の代わりだとバラされてしまうと冷める。断ろうかと思ったのであるが、どうせ帰りにコンビニで買った弁当を一人で食べるくらいなら付き合ったほうがまだましかと、誘いに乗ることにした。
二人で六本木にあるしゃぶしゃぶの店に入る。
「この店、前から知ってたの?」
梨華が店内を見回しながら言う。
「いや、ネットで調べた」
「ふ~ん。ほんとうは彼女と一緒に来たとか?」
にやけた顔をつくりながら梨華が言う。
「なんでいちいち余計なこと言うかなあ」
つい苛立って、きつめな言い方になってしまった。すると、梨華は急に俯いて、小さな声で言った。
「ごめんなさい」
そんなしおらしい態度をとられると、自分のほうがが悪いことをした気になってしまう。
「別にいいけど」
「私ってこういうこと言うから男の人に嫌われちゃうのよね」
前にも何かあったのだろうか。
「そんなに落ち込むことでもないさ。まあ、とにかく乾杯しよう」
ビールで乾杯した後、ワインに変える。
「心配しないで。もう飲み過ぎることはないから」
同期会でのことを後悔しているらしい。
「まあ、女の子はほどほどにしたほうがいいかもね」
「はい。わかってます」
今日はいやに素直だ。こういう梨華は可愛いと思う。もともと顔は可愛いのだけど。
その後は雑談で盛り上がり、楽しい時間を過ごしていた。話が一段落したところで、また梨華がおかしな提案をした。
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