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普段なら全く嬉しくない日曜の出勤だけれど、今日は家に一人で居たくなくて、二つ返事で引き受けた。
「へぇ...、そうなんだ。」
彼女はさして興味も無さげに、机の上に置かれたミニスカート姿の魔法戦士のフィギュアを手に、答えた。
「最初から、分かってて付き合ったんですけどね。
アイツはノーマルだから、いつかはこういう日が来るって。」
言いながらちょっと泣きそうになり、目元を両手で隠した。
十和子さんはなおもフィギュアを弄りながら、ふむ、とだけ言った。
「当然っちゃ、当然ですよね。
男同士、なんの生産性も無いのにずっと一緒にいるだなんて、不毛だと僕も思うし。
どちらでも好きになれるなら。
...彼女の事も好きならそうする方がいいって言って、僕もアイツの為を思って身を引いた訳ですし。」
声が、震える。
別れたのはもう、半年近くも前で。
...どうしたらいい、と彼に聞かれ、その背中を押したのは他でもない、僕だったはずなのに。
...なのに未だに片方ずつわけ合った、このピアスすらも外せないでいる。
「その人の事、本当に好きだったんだねぇ。」
十和子さんはフィギュアを机に置き、再び僕の方を向いて言った。
「好きでしたよ。
っていうかたぶん、今も好きです。
だから彼には、幸せになって欲しいなって、思っています。」
そこまで言ったところで、涙が溢れ出した。
「そんだけ好きになれる相手に出逢えるって事はさ、たぶん、幸せな事だよ。
地球上にいる男の数は、えっとー....。
35億、だっけ?
その中からその人に出逢えたって事はきっと、それだけで奇跡みたいな事なんだよ。」
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