20.幸福のかたち

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「そう。お祭りとか花火とか、よくあるだろう屋台。」 「イメージはできるんだけど、行ったことない…。」 そう小首を傾げる紗夜に、辻堂は笑いかけた。 「じゃあ、夏になったら行くか?浴衣とか着て。」 「いいのっ?」 「髪もアップにして眼鏡でもかければ、分からないだろう。」 それに、なにかあっても、紗夜の彼氏は本当のボディーガードなのだ。 「こんなに心強いことはないよね…。」 「ん?」 「なんでもないよ。大好きって言ったの。」 「紗夜…どうやったら口元にホイップクリームが付くんだ…?」 「えー?取って、取って!」 先程から立って摘み食いのようにしていた、2人だが、その紗夜の声に、辻堂はふっと笑って、紗夜を腕の中に閉じ込める。 「取ってあげるよ。」 ふわりと掬った顔に、唇を近付けて、紗夜の口元のクリームを舐めとる。 「うん…。美味いな。」 紗夜が腕の中で真っ赤になっていた。 「どうした?」 「絢人さん…カッコいい…ズルい。」 「可愛い紗夜が、口元にホイップクリームなんか付けているのがいけない。甘くて…美味しいな。今…キスしたら、もっと甘いのかもな。」 「じゃあ…して?」 「止まらなくなるから、後で。」 紗夜は小さく切ったパンケーキを口で咥える。 「んー…。」 「こら…。」 そうは言っても、可愛くて仕方のない恋人の、無邪気に甘える姿が好きだし、辻堂は紗夜をとことん甘やかすのが最近、趣味のようになっているので。 軽く唇を合わせて、甘いパンケーキを食べる。 「ね?2人で食べたら美味しいねっ。」 「そうだな。」
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