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「そう。お祭りとか花火とか、よくあるだろう屋台。」
「イメージはできるんだけど、行ったことない…。」
そう小首を傾げる紗夜に、辻堂は笑いかけた。
「じゃあ、夏になったら行くか?浴衣とか着て。」
「いいのっ?」
「髪もアップにして眼鏡でもかければ、分からないだろう。」
それに、なにかあっても、紗夜の彼氏は本当のボディーガードなのだ。
「こんなに心強いことはないよね…。」
「ん?」
「なんでもないよ。大好きって言ったの。」
「紗夜…どうやったら口元にホイップクリームが付くんだ…?」
「えー?取って、取って!」
先程から立って摘み食いのようにしていた、2人だが、その紗夜の声に、辻堂はふっと笑って、紗夜を腕の中に閉じ込める。
「取ってあげるよ。」
ふわりと掬った顔に、唇を近付けて、紗夜の口元のクリームを舐めとる。
「うん…。美味いな。」
紗夜が腕の中で真っ赤になっていた。
「どうした?」
「絢人さん…カッコいい…ズルい。」
「可愛い紗夜が、口元にホイップクリームなんか付けているのがいけない。甘くて…美味しいな。今…キスしたら、もっと甘いのかもな。」
「じゃあ…して?」
「止まらなくなるから、後で。」
紗夜は小さく切ったパンケーキを口で咥える。
「んー…。」
「こら…。」
そうは言っても、可愛くて仕方のない恋人の、無邪気に甘える姿が好きだし、辻堂は紗夜をとことん甘やかすのが最近、趣味のようになっているので。
軽く唇を合わせて、甘いパンケーキを食べる。
「ね?2人で食べたら美味しいねっ。」
「そうだな。」
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