19.朝を迎えて

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「紗夜は恥ずかしいって言うけど、俺はすごくいい。気持ちいいから。こんなに濡れていて、俺の動きに翻弄されて感じて乱れているの、すごくいいよ。紗夜、誰も見てない。俺だけだ。だから乱れていいんだよ。」 「っ…んっ、あ…」 「その声…可愛い。堪らない。」 「絢人さん…して?してほしいっ…」 「でも、…」 「お願い…、ひとつになりたいんです…。」 この人が、どれほど欲しいか…。 「紗夜…。」 大きな瞳に涙を浮かべて、下さい…と微笑む紗夜に、辻堂が逆らえる訳がなかった。 「無理だったら、すぐ言うんだよ。」 「はい…」 それがどれ程の痛みだったとしても、紗夜はやめるつもりはなかった。 けれど、実際は…ただ、ひとつになれたことが嬉しくて違和感や痛みもあったかも知れないけれど、そんなものを凌駕するくらい幸せな、幸せな気持ちになったのだ。 「痛くない?」 「嬉しいの…。ひとつになるって、…こんなに幸せなんですね…。」 「っ…紗夜っ…」 「あんっ…ん、絢人、さん…」 「動いて、いいかな?」 「はい。」 それは紗夜をいたわって、激しく突き上げるようなものではなくて、 けれど『紗夜、出そう…』と言った時の甘く掠れた声に、間違いなく紗夜は辻堂を愛おしく感じた。 この人が大好き。 初めてが絢人さんで、本当に本当に良かった。 そして、この人と出会えて、本当に本当に良かった。
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