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20.幸福のかたち
「うわー!!すっごくふわふわー!!」
「紗夜が頑張ってメレンゲにしたからだな。」
「メレンゲなんて、初めて作ったの。」
この部屋にいるのは、紗夜のマンションの隣の部屋に引っ越してしまった辻堂と、その部屋にオフだけと言わず入り浸っている紗夜である。
辻堂は、今まで自分が住んでいたマンションはもともと自分名義だったので、人に貸すことにした。
もちろん、紗夜が辻堂のマンションに通ってくることも可能だが、いかにも、な分譲マンションに紗夜が通うのは目立ちすぎる。
それよりも、今住んでいるところは変わらず、辻堂が引っ越してきた方が望ましいと、引っ越してしまった。
そのセキュリティのしっかりしたマンションは、大家さんが知り合いだったのも良かったのかもしれない。
たまたま、隣並びで空いた2部屋をさっさと抑えてくれてしまったので。
大家さんは駅前にも大きなビルを持っている、この辺りの開発を手掛けている人だ。
何せその人の奥さんが、榊原凛と言う人だから。
妹分のために、笑顔でそんなことをしてくれてしまったのだ。
今日は珍しく2人の休みが重なったので、辻堂の部屋で朝からパンケーキ作りである。
紗夜も今まで、ほとんど休みを取らなかったのだが、最近は城戸の配慮ですこしオフを増やしている。
と言っても、撮影の合間になることがほとんどだが、それでも活き活きと仕事に来てくれるようになった、と城戸は喜んでいた。
そして以前より笑顔が増えて、相変わらず人見知りではあるものの、前よりも他人との交流ができるようになった…と。
それも城戸には喜ばしいことだった。
しかも放っておけばシリアルしか食べない紗夜が、最近は辻堂といろいろ作っているようで、本当に楽しそうで、幸せそうなのだ。
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